人間に戻った話

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かつて私が前職の会社で働いていた頃、3年が経った頃から感情が死んでしまった。

仕事に一工夫加えて改善することはおろか、顧客に対しても情熱を傾けられなくなっていた。

働かない上司が横からあれやこれやと言ってきても必要最低限のことだけを済まして給料日を待つ生活だった。

かつてはボーナスが上がった!査定が!と一喜一憂していたものの、もらえるだけマシか、と

額面を見ることさえ止めてしまった。

平日は寝て起きて会社、昼食はただの燃料、休日は昼過ぎまで寝て夜9時くらいから映画を見に行ったり…。

どんな小さなことにも感謝したり喜んだり悲しんだりも出来ずただ時間をつぶす毎日だった。

このまま毎日時間をつぶすだけの生活をするくらいならいっそのことコロっと死ねないかな、くらいに思っていた。

完全に感情が死んだどころか人間でいることすら辞めて妖怪化してしまっていたちょうどその頃、会社に既卒の子が1人入社した。

 

あの時の感動はすごかった。

その子を見て『人間だ…人間!見て、人間!』と上司に話して、上司が訳も分からず爆笑してたことを今でも覚えている(笑)

なんというかピュアな笑顔で社会の汚さを知らなくて、分からないことを申し訳なさそうに聞いてくる。

もちろん顔に表情があって…それだけのことなのにすごく感動した。

 

久しぶりに人間らしい人間に会えたことが嬉しかったこと、その子には私のように妖怪化してほしくない、と心から思ったことから分からないことはすべて教えたし困ったときは相談に乗ったり、上司から当たられたときには壁役を買って出た。

何より不思議なことにとても気が合う子だったので、彼女の地元の友達が「上司と休日まで遊んだり海外旅行行って楽しいの!?」と驚くほど今現在も1番仲が良い後輩として私に付き合ってくれている。

 

この後輩に出会って人間に戻り、会社を辞めてからというものの、どんな小さなことにも感動できるようになった。

「日光に当たるって気持ちが良い!」

「山の葉っぱの緑がキレイ!」

「あのおじいちゃんおばあちゃん素敵!」

「あの人が親切にしてくれた」

くだらないことかもしれないけど、こういう小さな感動を忘れている人って結構多いと思う。

未だに100%人間に戻れているとは思えないが日々リハビリと思って人生を取り戻そうと生きている。